敗血症:定義〜初期対応(レクチャー復習)
1. まず「敗血症の定義」を確認
敗血症は、
「感染に対する制御不能な宿主生体反応に起因した、生命を脅かす臓器不全」
とされています。
✅ 敗血症の診断基準
- **感染症(または感染症疑い)**に加えて
- SOFAスコアが 2点以上 増加
2. 敗血症性ショックとは?
敗血症性ショックは、
「敗血症の中でも、急性循環不全により死亡率が高い重症な状態」
とされています。
✅ 敗血症性ショックの診断基準
以下を満たすこと:
- 平均動脈圧(MAP)65 mmHg 以上を保つために、輸液療法に加えて血管収縮薬が必要
- 血中乳酸値 ≥ 2 mmol/L(= 18 mg/dL)
3. 発見・診断:SOFA / qSOFA とその限界
レクチャー内では、敗血症の発見・診断に関して SOFA と簡便な qSOFA が出てきました。
SOFAスコア(6項目)
- 呼吸
- 凝固能
- 肝臓
- 循環
- 中枢神経
- 腎臓
※血液検査などが必要な項目も多く、「結果待ち」になりやすいのが弱点です。
qSOFA(3項目)
- 呼吸数 ≥ 22回/分
- 意識障害
- 収縮期血圧 ≤ 100 mmHg
すぐ確認できる一方で、感度 23% とされ、敗血症を除外し切ることはできません。
4. なぜ「病歴・バイタル・身体所見」が重要か
- 敗血症は 内科緊急疾患 の1つ
- 治療介入の遅れ=死亡率上昇につながる
- SOFAで見つけるにも検査結果を待っていられない
- qSOFAでも除外しきれない
- いろんなスクリーニングツールはあるが、どれも完璧ではない
だからこそ、病歴・バイタル初見・身体所見から判断し、治療介入することが重要、という話でしたね。
参考:レクチャーで触れたスクリーニングツール
- SOFA / qSOFA
- SIRS
- NEWS
- MEWS
👉 ぜひ「どんな項目で構成されているか」も確認しておきましょう。
また余裕がある方は、2025年末に発表された SOFA2 もチェックしておくとよいですね。
(1990年代に作られたSOFAがどう現代版にアップデートされたか、理解が深まります)
治療
5. ポイント①:感染源の同定・治療
まずは 身体診察 と 各種培養提出 でしたね。
✅ 培養提出の基本
- 血液培養:2セット
- 喀痰、尿
- +α(必要に応じて:創部、髄液、腹水など)
そして、培養をしっかり採取した上で適正な抗菌薬投与を行うことが重要でした。
感染症診療の「5つのポイント」
覚えていますか?
- 背景
- 臓器
- 微生物
- 抗菌薬
- 経過観察
これらを意識して、
**「想定された菌をすべてカバーし、かつ最も狭域の抗菌薬」**を投与する
Empiric therapy を行いましょう。
✅ 初回投与量のポイント
- 腎機能によらず通常投与量
1時間バンドルの扱い(レクチャー内容)
- 以前(2021年日本ガイドラインまで)は 1時間バンドル が推奨されていた
- ただ夜間救急外来など 人員が限られた中での1時間は難しい
- 2024年からは、
**「時間にこだわって培養が採取できないまま広域抗菌薬投与が行われる懸念」**から削除された
ただし、
「培養をしっかり採取した上で適正な抗菌薬投与を早期に行う」こと自体は重要です。
医師だけでなく他職種を含めたチーム全体が共通認識を持つと良いですね。
✅ ドレナージが必要なら
- 早急に各科へ コンサルテーション しましょう。
6. ポイント②:血行動態維持(輸液・昇圧薬)
問い:
「輸液って何を準備します?どれだけ投与しますか?」
✅ まず輸液:低血圧 or 乳酸高値なら
- 初期輸液:3時間以内にリンゲル液 30 mL/kg
ルート確保の基本
- 末梢ルート:20G以上を2本確保
- 全開で投与開始
その間に評価:MAPを維持できるか?
初期輸液中に、
- MAP(平均動脈圧 / mean arterial pressure) ≥ 65 mmHg
が維持できるかを評価します。
MAPが維持できるなら
- 初期輸液終了後、流量を
80〜100 mL/時 に絞りましょう。
MAPが維持できないなら
- 初期輸液中に 循環作動薬(ノルアドレナリン)を早期開始
- 0.05γ〜0.1γ から開始
- 0.25γ〜0.5γ で調整
✅ ここが大事:あなたの施設のノルアドレナリン組成は?
- ノルアドレナリン 5アンプル + 生食45 mL
- それとも 3アンプル + 生食47 mL?
👉 まずは 施設内の共通組成 を確認してみましょう。
中心静脈路がすぐ取れないとき:末梢投与も検討
その際に押さえるポイント:
- カテコラミン単独ルート
- 押し用の補液の準備
- 末梢投与期間はなるべく短くする
- 血管外漏出リスクを必ず説明する
ノルアドレナリンで血圧が保てない場合:バソプレシン併用
ただし、その前に 必ず考えたいこと がありましたね。
✅ チェックリスト
- 感染源のコントロールはできているか?
- 輸液は足りているか?
- 心筋症や相対的副腎不全など、別の原因が隠れていないか?
ステロイド投与の考慮
最後に、昇圧薬を必要とする場合にはステロイド投与も考慮しましょう。
特に、
- アドレナリン または ノルアドレナリン 0.25γ以上を
- 4時間以上使用した患者さん
で考慮、という整理でした。
7. まとめ:次に自分で確認しておくこと
- 自施設の 薬剤組成(ノルアドレナリン等) の確認
- 感染症診療の基本(5つのポイント) の復習
- ノルアドレナリン以外の薬剤(例:バソプレシン、ステロイド)の使い方の整理
- 補助療法(DIC、深部静脈血栓、ストレス性潰瘍予防、栄養、血糖管理 など)の確認
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