救急外来を生き抜く!胸痛のレッドフラッグサイン|4 killer chest painを見逃さない

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研修医にとって救急外来は、「ちゃんと対応できるかな」「危険な疾患を見逃したらどうしよう」など、たくさんの不安でいっぱいだと思います。でも、適切な救急マネジメントができるということは、今後出会うであろう目の前の患者を救うことに直結します。いわば、医師として最も大きく成長できる機会です。

そこで、以前から好評いただいているnoteシリーズ「救急外来を生き抜く、レッドフラッグサインまとめ」を、全面的に見直しました。引き続き「研修医が救急外来を生き抜くための必要最低限」に絞ってのコンテンツとして、救急外来でもすぐに使えるように、パッと一目でわかることを大事に、シンプルな構成にしました。
そのため、大事なことだけを厳選し、ぎゅぎゅっとまとめた形をとっています。「これが足りない!」「あれが足りない!」と言うお声もあるかと存じますが、コンセプトはあくまで上記のように定めていることをご容赦ください。

第1回のテーマは、「胸痛のレッドフラッグサイン」です。


目次

  • 胸痛患者でのmust rule out
  • 胸痛患者対応フロー基本型
  • 🚩胸痛のレッドフラッグサイン集🚩
  • ポイントまとめ
  • 参考文献

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胸痛患者でのmust rule out

胸痛患者を前にしたとき、必ず否定しなければならないのが以下の4つ・4 killer chest painです。

  1. 急性冠症候群(ACS)
  2. 大動脈解離
  3. 肺血栓塞栓症
  4. 緊張性気胸

特に①〜③は初期症状が非典型的でも致死的であり、「疑ったら必ず否定する」姿勢が重要です。

①を疑ったら12誘導心電図の施行が必須であり、胸痛患者をみたら症状が軽く見えたとしても、全例で12誘導心電図を施行してください。

②、③の確定診断に必要なのは造影CTです。②、③はいずれも症状が多彩であり、Dダイマーの値だけで否定もできません。胸痛患者においてリスクが高い場合、造影CTは躊躇わずに施行しましょう。

そして、②(心タンポナーデをきたした場合)、③、④では閉塞性ショックにもなりえます。血圧低下に加え明らかな頸静脈怒張がある場合は、閉塞性ショックを考慮し、循環動態を安定させながら早急にレントゲンや心エコーの評価を行いましょう。


胸痛患者対応フロー基本型

胸痛患者を前にしたとき、「とりあえず話を聞く」は最も危険な選択肢になり得ます。救急外来での胸痛患者対応は、4 killer chest painを除外するフローを体に叩き込みましょう!

①で血圧低下やSpO2低下など、呼吸・循環動態の不安定性を示唆するバイタルサインの異常があれば、早急に指導医に報告しましょう。絶対に研修医一人で対応しようとしてはいけません。

もちろん、①で引っかかる時点で、②〜⑤は同時並行で行って行く必要があります。多くの人手を確保し協力しながら診療を進めましょう。

胸痛患者対応フロー基本型

筆者考案のフロー。画像はNano Banana Proで生成。


🚩胸痛のレッドフラッグサイン集🚩

レッドフラッグサインのポイントは、すなわち4 killer chest painらしさがあるかどうかです。患者を最初に診た時と、問診・身体診察で、以下のサインがないかチェックしましょう。あくまで、胸痛患者の問診・身体診察は、初療を行いながらが鉄則です。

胸痛患者のred flagサイン集 ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第3版「胸痛」(p.128)を参考に、 救急外来での実臨床経験を踏まえて筆者が再構成・改変。画像はNano Banana Proで生成。

特に、大動脈解離や肺血栓塞栓症は非常に多彩な症状を呈し、忘れた頃にやってきます。

  • 片麻痺があったので脳梗塞だと思ったら、実は大動脈解離だった
  • 失神があったので起立性低血圧かなと思ったら、実は肺血栓塞栓症だった

というピットフォールもあります(参考:京都ERポケットブック第2版 p.135-136)。

そしてACSでも胸痛を認めないパターンもあり、単に吐き気がするという主訴、息苦しいという主訴のACSも見かけます(参考:救急外来ただいま診断中!p.192)。

よって私は、「中年以上の臍から上の症状は、一度はACSを考える」という当院指導医の教えに従い、敷居を低く12誘導心電図を施行するようにしています。


ポイントまとめ

  • 胸痛患者がきたら、バイタルサインをチェックし、まずはACS除外目的に12誘導心電図を施行しよう!
  • 大動脈解離や肺血栓塞栓症が多彩な症状をきたすことを踏まえ、造影CT撮影を躊躇わないようにしよう!
  • 血圧低下に加え明らかな頸静脈怒張を認めたら、閉塞性ショックをきたす疾患を考慮し、循環動態を安定させながら速やかにレントゲンや心エコーで評価を行おう!

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!

どうぞよろしくお願いします🤲


参考文献

  • 京都ERポケットブック第2版「胸痛」p.129-137
  • 循環器のトビラ「急性冠症候群」p.1-8
  • ジェネラリストのための内科外来マニュアル第3版「胸痛」p.128
  • 救急外来ただいま診断中!「胸痛患者に出会ったら」p.180-194

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